・LOVER—いつもあなたの腕の中—
隆好がニューヨークへ発った後、裕隆さんが副社長として新たに就任していた。元々、社長は首を縦に振らなかったらしいが隆好の援護説得の甲斐もあり、納得した社長は社員一同にも新副社長の紹介を済ませたのだ。
「全ては隆好の思うつぼだったな」と、やはり最後まで自分は隆好の駒に過ぎなかったと愚痴っていた裕隆さんだったが。
隆好の代わりを務めていただけあり、その手腕は隆好に引けを取らない程で。突然の副社長就任を快く思っていなかった周囲も、納得し黙るしかなかった。
副社長室の前で息を整え、ドアをノックする。
「真島です」
「……どうぞ」
室内からドアが開けられ秘書の高田さんが現れると「お待ちしていました。奥へどうぞ」と促された。
昨日は新副社長として文具会社の社長達と会食だったはずだ。もしやあの呑兵衛たちに絡まれて喧嘩でもしてきたのかな。などと余計な心配を胸に抱え副社長室へ足を踏み入れた。
窓から外の景色を眺めているスーツの後ろ姿は、隆好そっくりで。忘れたくても忘れられない面影を探してしまう。
やはりこういう状況で双子の片割れを見なければいけないというのは酷だと、改めて思ってしまうのだ。
「全ては隆好の思うつぼだったな」と、やはり最後まで自分は隆好の駒に過ぎなかったと愚痴っていた裕隆さんだったが。
隆好の代わりを務めていただけあり、その手腕は隆好に引けを取らない程で。突然の副社長就任を快く思っていなかった周囲も、納得し黙るしかなかった。
副社長室の前で息を整え、ドアをノックする。
「真島です」
「……どうぞ」
室内からドアが開けられ秘書の高田さんが現れると「お待ちしていました。奥へどうぞ」と促された。
昨日は新副社長として文具会社の社長達と会食だったはずだ。もしやあの呑兵衛たちに絡まれて喧嘩でもしてきたのかな。などと余計な心配を胸に抱え副社長室へ足を踏み入れた。
窓から外の景色を眺めているスーツの後ろ姿は、隆好そっくりで。忘れたくても忘れられない面影を探してしまう。
やはりこういう状況で双子の片割れを見なければいけないというのは酷だと、改めて思ってしまうのだ。