・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「あーあ、二十九歳にして芸能人にハマっちゃったか。可哀相に、こりゃ当分結婚できないねー」とお手上げ状態とでもいうように外人の真似をして両手を上げデスチャーしている芽衣に援護がつく。
「現実見て下さいよ先輩。俳優なんて色んな役になりきってお芝居する職業なんですよ? いい顔をされたのだって、一般人向けのサービス精神からでしょ?」
冷静な分析をする後輩の阿部晴海(あべはるみ)は「それでも、芸能人が初対面でスマホを買ってくれるとか。ある意味レアケースでしょうけど」と続けた。
確かに。出逢うような相手ではない人と出逢ってしまい、接点まで持ってしまったりしたから。
あの日は私にとって特別な出来事だった気がする。だから、余計に忘れられなくなってしまったのかもしれない。
今日は店舗勤務ではなく朝から本社で仕事をしていたため、こうして二人と社員食堂でランチを一緒に食べることが出来ている私は、ここぞとばかりに弄られている。
それ程広くはない社員食堂のため、少し声を上げれば途端に隅々の社員の耳に入ってしまうことを分かっていながら二人は私をからかうのだ。
「あれから連絡とかないの?」
「現実見て下さいよ先輩。俳優なんて色んな役になりきってお芝居する職業なんですよ? いい顔をされたのだって、一般人向けのサービス精神からでしょ?」
冷静な分析をする後輩の阿部晴海(あべはるみ)は「それでも、芸能人が初対面でスマホを買ってくれるとか。ある意味レアケースでしょうけど」と続けた。
確かに。出逢うような相手ではない人と出逢ってしまい、接点まで持ってしまったりしたから。
あの日は私にとって特別な出来事だった気がする。だから、余計に忘れられなくなってしまったのかもしれない。
今日は店舗勤務ではなく朝から本社で仕事をしていたため、こうして二人と社員食堂でランチを一緒に食べることが出来ている私は、ここぞとばかりに弄られている。
それ程広くはない社員食堂のため、少し声を上げれば途端に隅々の社員の耳に入ってしまうことを分かっていながら二人は私をからかうのだ。
「あれから連絡とかないの?」