・LOVER—いつもあなたの腕の中—
あ、そういえば。そんなことを言って、西田リュウに同行する仕事から逃げようとしてたっけ。
「あはは……ですね」
「深山には明日話しておく、君が気にする必要はない」
「いえ、副社長にそこまでしていただかなくても。深山さんの機嫌が良さそうな時に、隙を見てわたしから……」
「言えなかった結果が、これだろ。今更言えるとは到底思えない」
半ば強引に請け負った副社長は「お疲れ、早く帰れ」と背を向け部屋を出て行った。
そんな背中に向かい「ジュースありがとうございました!」と声をかけたが、私の声は届いていなかったのか、副社長の反応は無かった。
手にしている缶ジュースを開け、飲み口に口をつけると。口の中いっぱいに甘みが広がり、同時に甘い香りが鼻を抜けた。
「美味しい」
副社長が職場に顔を出すなんて、初めてじゃない? そういえば、どうしてこのフロアに居たんだろう。
疑問に思うことはあるものの、それよりもっと感じたことがある。
副社長は素っ気なくて冷たそうな見た目に反し、実は優しいのではないか……と。
その伝え方は、少し不器用みたいだけど。
「あ! もしかして、私が注意されて落ち込んでると心配して、様子を窺いに来たとか?」
「あはは……ですね」
「深山には明日話しておく、君が気にする必要はない」
「いえ、副社長にそこまでしていただかなくても。深山さんの機嫌が良さそうな時に、隙を見てわたしから……」
「言えなかった結果が、これだろ。今更言えるとは到底思えない」
半ば強引に請け負った副社長は「お疲れ、早く帰れ」と背を向け部屋を出て行った。
そんな背中に向かい「ジュースありがとうございました!」と声をかけたが、私の声は届いていなかったのか、副社長の反応は無かった。
手にしている缶ジュースを開け、飲み口に口をつけると。口の中いっぱいに甘みが広がり、同時に甘い香りが鼻を抜けた。
「美味しい」
副社長が職場に顔を出すなんて、初めてじゃない? そういえば、どうしてこのフロアに居たんだろう。
疑問に思うことはあるものの、それよりもっと感じたことがある。
副社長は素っ気なくて冷たそうな見た目に反し、実は優しいのではないか……と。
その伝え方は、少し不器用みたいだけど。
「あ! もしかして、私が注意されて落ち込んでると心配して、様子を窺いに来たとか?」