・LOVER—いつもあなたの腕の中—
3
店舗勤務から外れたため毎日出勤する場所が本社のみとなり、履き慣れないパンプスで毎日通勤することに。結果、早くも踵が擦れて皮が剥けた。
スニーカー出勤可だった店舗勤務がありがたかったな、などと懐かしく思いながら駅から本社に向かう歩道を歩く。こんな時くらいバスに乗ればいいものを、日頃の運動不足解消のために地道に歩いているのだ。
「おはよ、優羽」
「おは……あれ? バスじゃないの?」
背後から呼ばれ歩いていた速度を弱め振り返ると、軽快にヒールを鳴らしわたしに追いついたのは芽衣だった。
「今日はICカード忘れちゃったのよ」
「いやんなっちゃう」と言いながら、芽衣が歩く速度はわたしよりもずっと早く。しかも足元は私が履いているパンプスより高いヒールなのに。
よくこんなに早く歩けるな。と感心しながら肩を並べ歩いていると「今日は西田リュウの事務所で打ち合わせなんでしょ?」と芽衣が言い出した。
「そうだね、芽衣も一緒に行く?」
「行く行く! と言いたいところだけど、近々出張なんだよね。その準備に時間かかりそうだから、無理ー」
「冗談だってば。私は芽衣が一緒に行ってくれた方が、ホントは心強いんだけどねぇ」
スニーカー出勤可だった店舗勤務がありがたかったな、などと懐かしく思いながら駅から本社に向かう歩道を歩く。こんな時くらいバスに乗ればいいものを、日頃の運動不足解消のために地道に歩いているのだ。
「おはよ、優羽」
「おは……あれ? バスじゃないの?」
背後から呼ばれ歩いていた速度を弱め振り返ると、軽快にヒールを鳴らしわたしに追いついたのは芽衣だった。
「今日はICカード忘れちゃったのよ」
「いやんなっちゃう」と言いながら、芽衣が歩く速度はわたしよりもずっと早く。しかも足元は私が履いているパンプスより高いヒールなのに。
よくこんなに早く歩けるな。と感心しながら肩を並べ歩いていると「今日は西田リュウの事務所で打ち合わせなんでしょ?」と芽衣が言い出した。
「そうだね、芽衣も一緒に行く?」
「行く行く! と言いたいところだけど、近々出張なんだよね。その準備に時間かかりそうだから、無理ー」
「冗談だってば。私は芽衣が一緒に行ってくれた方が、ホントは心強いんだけどねぇ」