【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
ふぅ、ようやく静かになった。全く、なんつー目覚めだ。




今までで1番いい目覚めとか…変な感じだな。





ふと机に置かれたカバンを見た昴。それを手に取って、中に入っている袋を取り出した。





コレを渡しそびれたな。後で渡すか。





「先輩…!」






その声に反応してふっと振り返った。そして安心仕切ったような表情で依乃里を見つめる。






「榛名ちゃんおはよう」





良かった元気そうだ。これで調子悪くしていたら今度こそ、ご両親に合わせる顔がない。





がばっ!





「うわ!は、榛名ちゃん…?!」





手に持っていたエコバッグを床に置いて昴に抱きついた依乃里。






その力はとても強く、昴が離そうとしても簡単には離れなかった。





この子はいつも俺を全力で抱きしめるな。嬉しいけど、今は複雑な気分だ。






シャワーにも入ってないし。ずっと寝ていたから寝癖だって…いや、そんなのはいいか。






「元気になって良かった。すごく心配しました」
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