【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
コツンと当たった昴の手でようやく我に返った依乃里は自分がどこまで動いていたかようやく自覚した。




心配そうに見つめる昴を見て反省する。






こんなに動いてたんだ。ちょっと興奮しすぎちゃった。





先輩の手を握っていた手も離れてくることにすら気づかなかった。





「離さないと思うくらい力強く握ってたのに、簡単に離しちゃうんだ」





「は、離しません...!もう離しませんからそんなに悲しい顔しないで下さい」






「ほんとに?なら、ずっと握っててね」






今度は昴の方からぎゅっと依乃里の手を握り、暗示をかけるかのように手の甲にキスと落とすと依乃里は慌てて手を離してしまう。






昴との約束もほんの数秒で終わった。





「〜っ…!な、なな何するんですか!?こんな大勢の前で」





「こんなことで離すなんて。まだまだ榛名ちゃんの気持ちは俺に届かないね」






「それとこれとは....」
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