【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
音楽がなり始めていよいよ明星タイムのトークイベントが始まる。






スクリーンの端からVtuberの姿の明星タイムが出てくると会場に歓声が響き渡る。






『今日も君と俺の時間。こんにちは明星タイムです。今日は初めてのイベント!皆さん楽しんでいってください』






憧れの人がこの近くにいると思うと胸がドキドキする。こんなに楽しいことは今までにない。






小さい頃、病気の治療を頑張って良かった。ここまで生きていけたのはこの世界があったから。






最初のコーナーはいつもの配信と同じ、フリートーク。





最近あった面白い話でお客さんを自分の世界に惹き込む。そのトーク術はまさにプロ並み。






トークを聞いているお客さんたちは誰一人飽きることなく、目線は明星にくぎ付けだ。






『それじゃあここからは質問コーナー。会場の皆はここに入る時に整理券貰ったよね?今からその番号を俺が引くから出た番号の人は質問してOK!ただし、時間の都合もあるので一人しか出来ないんだ。ごめんね。それでは俺の横にある箱から番号が書いてあるカラーボールを引いていくよ』






明星の横に出現した箱からカラーボールを選んで取り出して番号を確認してから皆にボールを見せた。





『ボールに書いてあったのは十番!この番号の人は手を挙げて』






「は、はい!」






手を挙げたのは依乃里だった。整理券を持った右手と依乃里自身も驚きのあまりプルプルと震えていた。






まさか当たるなんて。ていうか、何を質問したらいいの?!



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