【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「り、リアちゃん?顔怖いよ。ごめんね。変なこと聞いて」






「気にしないで下さい。それより昴先輩を探さないと」






怖い顔してたんだ。





それはきっと自分には昴先輩を振り向かせるには魅力不足ということを考えて、自分自身に苛立っていたからだと思う。







電話してみたけど繋がらないし。人が多いから繋がりにくいのかもしれない。







不安が募るなか、依乃里は自分の体調が悪くなっていることに気づく。







慣れない環境で疲れが溜まっていたためいつもより体調不良になりやすくなっていた。







そうだ。そろそろ薬の時間だ。ポーチの中に薬があったはず。







あれ?家に忘れてきたんだ。







「リアちゃん顔色悪いけど大丈夫?少し休もうか?」






「平気です…」







平気と言ったけどやばいかも。めまいが起きてきた。







昴を探しに、一歩脚を踏み出した依乃里の身体は静かにその場に倒れ込んだ。







目の前が薄暗くなっていく。力が全然入らないや。久々に出かけて張り切りすぎたんだ。







先輩と出かけられることが嬉しすぎて、自分自身に負担をかけて。







高校生にもなって自分の体調管理も出来ないなんて情けないのね…。
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