【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「榛名ちゃん...!」






先輩?





戻ってきてくれたんだ。






声を聞くだけで安心する。






気持ちが届かないくたって、私は先輩のそばにいたい。






間一髪で倒れそうになった依乃里を支えた昴はすぐに明星に救急車を手配するように言う。





「明星さん、救急車を!」







「分かった」








依乃里は昴の声を聞いて安心し、ゆっくり目を閉じて身体を休ませた。







目を覚ますまでそばにいて。手を握られている気がする。






だったら私はこの手を離さない。今度こそ離さないんだから。







その後、救急車で運ばれた依乃里。症状は軽症で、目を覚ましたらすぐに帰宅することが許された。






まだ眠い。





お医者さんからは疲れが出たんだろうと言われた。






昴先輩は私の両親に謝っていたみたい。






私のそばを離れて、倒れるまで気づかなかったことを先輩は責任を感じていたらしい。






そんなのいいのに。






私にだって責任はあるんだから。先輩だけが責任を感じる必要はないんだよ。








パパとママもそれは分かっていた。だから怒らないでいてくれたんだ。
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