【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「ちゃんと休まないと。そこ座るよ」






依乃里は横に座ってきた昴から少し離れて体育座りをする。






スマホを持っていた手は緊張で力が入る。





いきなり近いとドキドキする。手汗もヤバいし。






その緊張した手にそっと自分の手を重ねた昴。ドキッとした依乃里は目を見開いた。





先輩の手が私の手の上に…!な、何が起こってるのー??!





「配信より、オレと一緒にドキドキすることしない?」






「え?せ、先輩?!キャ!」





配信よりドキドキすることって?!!も、もしかして…!!






依乃里を寝る体勢をとらせ、頭を自分の腕に乗せてから布団をかけた。





添い寝!?しかも腕枕で…!!何、このシチュエーション。




胸のドキドキが本当に伝わりそう。




「寝るまでこうしててあげる」







先輩がこんなに近かったら余計目が覚めちゃって寝れないよ。







「榛名ちゃんは暖かいね。俺まで眠たくなってきたよ」





恥ずかしいからそれ以上はやめて…!私、ドキドキし過ぎておかしくなりそう。






「先輩も暖かいです....」




何言っているのよ私!あ〜やっぱりおかしくなってる!!





……あ、あれ?なんだか安心してきて瞼が重たく…………。





それから数分後。






依乃里はあっという間に眠りについた。






「ゆっくり休んで」




起こさないように起き上がった昴は静かに依乃里の頭を撫でた。





すると依乃里はボソボソと寝言を言い始めた。





「ん〜先輩…すきで…ん」





依乃里の寝言最後まで聞かないで人差し指で口を軽く抑えた。






「まだキミの口からその言葉は聞きたくないな」






布団をかけ直して保健室を後にした昴。依乃里はそれから夕方までぐっすり寝ていた。
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