【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「榛名ちゃん…!」






嫌いになんてなれない。





いくら今の先輩が私の好きな昴先輩じゃないからって簡単に嫌いになれないよ。






八雲くんと付き合った方がいい。あの時言いかけた言葉。もちろん本音ではない。







なんであんなこと口走ってしまったのか…。







「はぁ…はぁ…私、バカだ。発言には気をつけようって決めたばかりなのに。イベント時だって手を離さないって自分で言っておいて離しちゃったし…」






決めたことも守れないのに、先輩の彼女になりたいのか図々しいよね。






片想いのままでいた方がお互い傷つかなくていいかもしれない。






私の恋はここで終わったんだ。というより、終わらせた方がいいんだ。







寒い冬の夜。依乃里の涙は雪と共に流れ落ちていった。
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