【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「母親想いだなって思っているだろ」





「え!?いや…!」





ズバリ当てる八雲に驚きを隠せない。





八雲くんにはお見通しか。相変わらず先の先まで人の心を読んでいるんだから。





「ははっ、やっぱりそう考えてたんだ。……父さんと母さんさ、俺が小さい時に別れたんだ」






「え?」




別れたって離婚したってことだよね?





あまりの衝撃的な事実に言葉を失う。八雲の触れてはいけない部分に触れてしまった。





依乃里は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。






「父さんは仕事が忙しくてあまり家にいなかったから居てもいなくても変わらないって思ったらしくて。母さんは気持ちを表に出さないで溜め込む人だったから悲しんでいる姿はその時も見せなかったな」
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