【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
あんなに悲しい顔させやがって。最低な奴だ。






お前はいつも何を見てたんだよ。依乃里の笑顔だろ。





悲しい顔なんて見ているこっちも辛いに決まってる。胸が痛くなんて罪悪感が生まれる。







「八雲くん。こんなところにいたら風邪ひくよ?」





依乃里は寒い中バルコニーでずっと空を見上げていた八雲を心配になり様子を見に来た。






「おう。ちょっと食べすぎちゃってな。風にあたって休んでたんだ」






本当は今から告白するから緊張していたなんてカッコ悪くて言えないな。






今の俺にはこの夜風がとても心地よいんだ。






「そうなの?私はまだまだ食べられるよ」






「ほんと底なしだな」






この小さな身体のどこに吸収されてんだか。スイーツまで全メニュー制覇してたよな。





甘いものは別腹ってやつか。






風が強くなってきて、少し震えがでてきた二人。






さっむ!ったく、これじゃあ告白する前に凍え死ぬ。





八雲はコートを着ているが、依乃里は着ないでバルコニーに出てきたので八雲より震えている。






気付いた八雲は自分のコートを依乃里にかけた。






また倒れられても困るからな。そういえばコートは預けていたな。





スタッフに頼べば持ってきて貰えるのに。何も考えないで俺のところに来てくれたんだな。





全くお人好しが。





「お前こそ風邪ひくぞ」
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