【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「あ、ありがとう」




そろそろ中に入るか。依乃里の体調が心配だ。その前にやるべき事はやらないと。






「そういえばいたか?話したい配信者」




どう切り出していいのか。告白ってこんなに怖いものなのか?それか俺が弱いだけか……。





「うーん。昔、配信者を観るきっかけになった人と話したいなぁって思ってたんだけど…」





「だけど?」





「その人の顔と名前が思い出せなくて。ここまで出かかっているんだけどな...」






喉をトントンするも全くその人物が思い出せない依乃里。





一体誰なんだ。依乃里が会いたい配信者って。俺でも知らないような相手なのか。





「どんな内容だったかは覚えてないのか?」





内容だけでもある程度は絞れる。





依乃里の願いを叶えるのはこれで最後かもしれないから叶えてあげたい。





「残念だけど覚えてない。でもね、楽しかったのだけは覚えてるの。なんか一生懸命人を喜ばそうとしてて、ずっと笑顔で話していたあの人」
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