【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「八雲くん…!!」




「最後だから…これで…………」





最後にこうやって抱きしめるのはルール違反な気がする。






でもこうしないと、俺は依乃里の言葉を聞いているのは辛くなる。






悔しいけど涙まで出てきそうなんだ。





分かってる。こうなるって分かっていた。






それでもやっぱり、悔しいな…。






自分の方が依乃里を喜ばせることができるし、守ってやれる。そんな自信に満ちていた。






幻想だったかもしれないな。






もし本当に依乃里が俺を選んでくれていたら、守れるかなんてはっきり言えない。






多分、不安になって怖くなる。







あぁ、だからアイツは…。昴先輩はこれが分かっていて告白するのを拒んでいたんだろうな。







やっと分かったよ先輩の気持ちが。こういう事だったんだな。







ほんと、勝てないな。
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