【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「はぁ…。すまない変なことして」





「ううん。八雲くん」





こんな事をしても許してくれるんだ。ほんとは嫌なくせに。つくづく羨ましいぞ昴先輩。





「なんだ?」






「ありがとう私を好きになってくれて。彼女にはなれないけど、これからも友達でいてくれる?」






そんなの当たり前だ。彼氏になれなくても俺はお前も友人としてこれからもそばにいるつもりだ。






「これからもよろしくな依乃里」






「よろしくね八雲くん」






握った手はお互い冷えていた。しかしその中には暖かい友情が静かに芽生えた。






「そろそろ行くんだろ?昴先輩のところに」





送っていくか。夜に1人で歩かせる訳にはいかないからな。配信の約束は断るか。






「うん。あ、これありがとう」





「おう。自分のもさっさと取りに行ってこい。俺は受付で待っているから」






「うん。その前に昴先輩に連絡するね」






コートを受け取り再びそれを着て暖をとる八雲。






はは、コートは暖かいのに心は寒い、か。この雪はやっぱり俺の失恋を表していたんだな。






依乃里はカバンからスマホを取り出して昴に連絡をとり始めた。
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