【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「もしもし昴先輩。依乃里です。今から待ち合わせの場所に向かいます」






待ち合わせしてたんだ。一応俺は邪魔するなと言っておいたんだけどな。





それはもういいか。終わったことだし。






「先輩?昴先輩、聞こえてますか?」





何か様子がおかしいな。どうしたんだ?あの慌てよう、ただ事じゃないな。





「どうした?」





っ…!!





依乃里は今にも泣きそうな顔で八雲の方を振り返った。





八雲が動揺している中、依乃里は震えながらも一生懸命声を出して状況を伝える。






「先輩が、返事しないの……」





次第にカタカタと震えだし、依乃里の不安がつもり出す。






「依乃里、とにかく約束の場所に行け…!俺もあとから追いかける」





アイツはこんな時でも……。





「う、うん。場所は駅前のクリスマスツリーの前だから」






「分かった」





走り出した依乃里を見送り、仲間に事情を話してその後を追いかけた。






なんだよアイツ。依乃里を心配させやがって。また勝手な理由だったら、ただじゃ済まさねーぞ!!
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