【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「こんな状態の先輩をほっとけません!私の心配より、自分の心配をしてください…」






熱で火照った顔に一粒の涙が昴の頬を伝った。それは依乃里の涙。






自分より、他人のことを気にする昴への怒りが形になったものだった。






あ…またキミを泣かせてしまった。






そんな顔させたくなかったのに。俺はまた、同じことを繰り返すのか…。






「おいおい。すっかりイケメンが崩れてるな」






「八雲くん!」





お前も来てくれたのか。ならもう大丈夫だな。






「俺が家まで運ぶ。依乃里、案内してくれ」





お前に運ばれくらいならここで寝ていた方がマシだ。こんな情けないやつのことなんてほっといてくれよ。





「うん…!」
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