甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
腕の中から離れた後、湊さんの電話に着信があり、直ぐに役員室を後にした。
ビルを出て少し歩いていると、何か忘れているような…
そうだ!お父さんに頼まれてた書類渡さないと。
あぁ、もー、私ったら。
仕事の邪魔しちゃいけないけど、仕方ない、役員室まで持って行こう。
最上階の役員室の前まで行くと、扉が少し開いていて、声が漏れてきた。
仕方ない。
誰か来てるなら後で電話しよう。
「……好きになってしまって、すみません」
えっ、告白?女性の声は…
もしかして、野木さん?
「謝ることないよ。俺は嬉しいよ」
「でも…こんな私でもいいんでしょうか」
野木さんのすすり泣く声…
心臓が飛び出そうなくらいドキドキして、息が出来ないほど苦しい。
「お互い好きなんだ、それでいいじゃないか」
「専務、本当にいいんですか、こんな私でも」
「もちろんさ、良かったよ。お互いの気持ちが通じ合って」
湊さんとの素敵な時間が、鏡が割れたように崩れ落ちていく。
私はその場を離れようとしたけど、勢いよくバッグが壁に当たってしまった。
「誰かいるのか?」
その言葉に、直ぐにエレベータまで走り、急いでボタンを押した。
「結羽!」
湊さんの足音が聞こえる。
「結羽待って!」
ドアが開いた時、腕を掴まれた。
「離して下さい!」
「ちょっと、」
「楽しかったですか、喜んでる私を見て」
「結羽、待って、話を」
「触らないで!離して下さい!」
私は腕を振りきって、中に入りボタンを押した。
閉まる隙間から、私の名前を叫ぶ湊さんの顔が見えた。
そうか、そうだったんだ…
本命の女性がいた。
その女性は、野木さんだったんだ。
さっきの2人の会話が、ぐるぐる頭の中を駆け巡る。
馬鹿だな、私。
エレベータを降り、この場から早く離れたくて、涙でぼやける街並みを小走りで駅へと向かった。
あぁ、家だ。
どうやって帰ってきたっけ…
部屋に入った途端、力が抜けて、へたり込んでしまった。
分かってたじゃない。
素敵な女性が、きっといるって。
だって、自惚れるような言葉は掛けられても、『好きだ』という言葉は無かった。
そのうち本気になっていた自分が悪い。
好きになりすぎて、もうこの関係は続けられないよぉ。
2人が想い合ってることを知ったから。
私は声を殺して、泣き崩れた。
ビルを出て少し歩いていると、何か忘れているような…
そうだ!お父さんに頼まれてた書類渡さないと。
あぁ、もー、私ったら。
仕事の邪魔しちゃいけないけど、仕方ない、役員室まで持って行こう。
最上階の役員室の前まで行くと、扉が少し開いていて、声が漏れてきた。
仕方ない。
誰か来てるなら後で電話しよう。
「……好きになってしまって、すみません」
えっ、告白?女性の声は…
もしかして、野木さん?
「謝ることないよ。俺は嬉しいよ」
「でも…こんな私でもいいんでしょうか」
野木さんのすすり泣く声…
心臓が飛び出そうなくらいドキドキして、息が出来ないほど苦しい。
「お互い好きなんだ、それでいいじゃないか」
「専務、本当にいいんですか、こんな私でも」
「もちろんさ、良かったよ。お互いの気持ちが通じ合って」
湊さんとの素敵な時間が、鏡が割れたように崩れ落ちていく。
私はその場を離れようとしたけど、勢いよくバッグが壁に当たってしまった。
「誰かいるのか?」
その言葉に、直ぐにエレベータまで走り、急いでボタンを押した。
「結羽!」
湊さんの足音が聞こえる。
「結羽待って!」
ドアが開いた時、腕を掴まれた。
「離して下さい!」
「ちょっと、」
「楽しかったですか、喜んでる私を見て」
「結羽、待って、話を」
「触らないで!離して下さい!」
私は腕を振りきって、中に入りボタンを押した。
閉まる隙間から、私の名前を叫ぶ湊さんの顔が見えた。
そうか、そうだったんだ…
本命の女性がいた。
その女性は、野木さんだったんだ。
さっきの2人の会話が、ぐるぐる頭の中を駆け巡る。
馬鹿だな、私。
エレベータを降り、この場から早く離れたくて、涙でぼやける街並みを小走りで駅へと向かった。
あぁ、家だ。
どうやって帰ってきたっけ…
部屋に入った途端、力が抜けて、へたり込んでしまった。
分かってたじゃない。
素敵な女性が、きっといるって。
だって、自惚れるような言葉は掛けられても、『好きだ』という言葉は無かった。
そのうち本気になっていた自分が悪い。
好きになりすぎて、もうこの関係は続けられないよぉ。
2人が想い合ってることを知ったから。
私は声を殺して、泣き崩れた。