甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
「でも、専務はそんな私の行動を、怪しく思ってたみたいで、ある日『何を企んでるんだ』と問い詰められたの」
1度だけ見た、湊さんの冷たい眼差し。
思い出すだけでも怖い。
「そして、全て話したわ。2人の写真は専務も見たことがあるらしいの。もしかして姉弟かもしれない。それならDNA鑑定をしようと。でも姉弟じゃ無かった」
ということは、孝さんとも、血が繋がってないってことか。
「東さんに専務が詳しく聞いたら、社長が知らない間に、私の母から身を引いたらしくて」
東さん恐るべし、西条HDの生き字引だ。
「それから何事も無かったかのように、専務は接してくれたの。孝さんにも申し訳ないと思って、仕事を一緒にしたわ。孝さんは誰に対しても思いやりがあって、人の心に寄り添える人。そして、私が困った時、さりげなく助けてくれるの」
野木さんは、大きなため息をついた。
そういえば、野木さんの為に、車で一緒に出掛けてたっけ。
「そう、私は本気で、彼を好きになった…」
こんなに狼狽える野木さんを見るのは、初めてだ。
「先日、孝さんから付き合って欲しいって言われて。でも私、疚しい心で近づいたから、後ろめたくて。それで専務に相談に行ったの。本当にごめんなさい」
「そうだったんですか…」
「あんなに狼狽える専務の姿、初めて見たの。きっと佐々倉さんのことが好きなんだって」
「いえ、あの、そんな仲では」
好き、って言われたこと無いし。
「誤解ということを伝えたかったの。突然お邪魔してすみませんでした。また、一緒にお仕事出来る日を、楽しみにしていますね」
そんな日は、もう来ないかもですけど…
「そうだ、野木さん、これ渡そうと思って役員室まで行ったんです。お願いしてもいいですか」
「…大切な書類です。佐々倉さんが直接渡して下さい。専務、今日は夕方からスケジュール空いているから」
野木さんは深々とお辞儀をして、帰って行った。
1度だけ見た、湊さんの冷たい眼差し。
思い出すだけでも怖い。
「そして、全て話したわ。2人の写真は専務も見たことがあるらしいの。もしかして姉弟かもしれない。それならDNA鑑定をしようと。でも姉弟じゃ無かった」
ということは、孝さんとも、血が繋がってないってことか。
「東さんに専務が詳しく聞いたら、社長が知らない間に、私の母から身を引いたらしくて」
東さん恐るべし、西条HDの生き字引だ。
「それから何事も無かったかのように、専務は接してくれたの。孝さんにも申し訳ないと思って、仕事を一緒にしたわ。孝さんは誰に対しても思いやりがあって、人の心に寄り添える人。そして、私が困った時、さりげなく助けてくれるの」
野木さんは、大きなため息をついた。
そういえば、野木さんの為に、車で一緒に出掛けてたっけ。
「そう、私は本気で、彼を好きになった…」
こんなに狼狽える野木さんを見るのは、初めてだ。
「先日、孝さんから付き合って欲しいって言われて。でも私、疚しい心で近づいたから、後ろめたくて。それで専務に相談に行ったの。本当にごめんなさい」
「そうだったんですか…」
「あんなに狼狽える専務の姿、初めて見たの。きっと佐々倉さんのことが好きなんだって」
「いえ、あの、そんな仲では」
好き、って言われたこと無いし。
「誤解ということを伝えたかったの。突然お邪魔してすみませんでした。また、一緒にお仕事出来る日を、楽しみにしていますね」
そんな日は、もう来ないかもですけど…
「そうだ、野木さん、これ渡そうと思って役員室まで行ったんです。お願いしてもいいですか」
「…大切な書類です。佐々倉さんが直接渡して下さい。専務、今日は夕方からスケジュール空いているから」
野木さんは深々とお辞儀をして、帰って行った。