甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
【真実の愛に溺れゆく】
「ただいま」
「お帰りなさい」
はっ!つい自然と言葉が出てしまった。
「結羽、お待たせして申し訳ないけど、シャワーだけ浴びさせて」
「あっ、はい」
帰るわけにも行かず、一人静かに待っていたのに、一気に緊張感が戻ってきた。
お風呂上がりの湊さんは、濡れた髪が更に色っぽく、鼓動が跳ね上がる。
目を逸らし、湊さんが横に座ると、緊張で呼吸が浅くなってきた。
「ねぇ、結羽」
「は、はい」
私は俯いたまま返事をした。
「こっち、向いて」
湊さんを見ると、好きが溢れてしまって、自分の覚悟が揺らぐ。
「俺、あのホテルの桜の木の下で立っていた結羽に、一目惚れしたんだ」
私の手を握りながら、静かに語り始めた。
「えっ?」
「だから、結羽の初めての男になれて、本当に嬉しかった」
「私、湊さんは、可愛そうな私を相手にしてくれてるだけかと思ってたから」
湊さんは首を横に振って、微笑んでいた。
「俺、そんな酷い男だと思ってるの?悲しいよ。何度もアピールしてるのに」
「実は私も、桜の木の下に立っていた湊さんを見て、あんな素敵な人ならって思ったんです」
「じゃあ、2人とも一目惚れってわけだ。惹かれ合うはずだ」
湊さんは優しく微笑んでいた。
「言葉にしなくてごめん。結羽、好きだ。俺と付き合って欲しい」
「…こんな、こんな私でいいんですか」
待ち望んでいた言葉に、嬉しくて涙が溢れる。
「結羽以外の女性は考えられない」
湊さんに抱きしめられ、体から始まった繋がりは、気持ちも繋がった。
「良かった…昨日から仕事どころじゃなかったよ。ご飯も喉を通らないし」
そんなに思ってくれてたんだ。
急に恥ずかしくなってきた。
「何だか急にお腹が空いてきた。夕食作るよ。待ってて」
「私作ります」
「料理、出来るの?」
「母が仕事で忙しかったので、手伝ってました」
「そう、じゃあ一緒に作ろう」
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