甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
「これ美味しい!湊さん、料理上手ですね」
「そう?手料理、人に食べてもらうの初めてだから良かったよ。結羽も上手だね」
「嬉しいです」
本当に付き合ってるんだ。
少しずつ実感が湧いてきた。
そうだ、言っておかないと。
「あの…今日、野木さんからお話聞きました。そう言えば、孝さん、2人がお似合いだって言ってたので、勘違いされているかもしれません」
「告白してから、野木さんが返事を待って貰ってたから、俺の事が好きなんだと勘違いしているかもしれないね」
「幸せになって欲しいです」
「そうだね。お互い好きなんだから。俺達みたいに」
さらっと、そんな嬉しいことを。
「あの…前に言ってた孝さんと湊さんのお母さんは、違うんですか?」
「俺の母親は、小さい頃に仕事人間の親父に呆れて出て行ったよ。そして、俺が寂しいだろうと再婚して孝が産まれた。今の母は、血は繋がってないけど、優しい人だよ」
孝さんは、お母さん似なのかもしれない。
「でも、湊さん、野木さんみたいな素敵な女性になびかないなんて」
「俺、純粋で心が綺麗な女性しかなびかないから」
さらっと言われる言葉の度に、鼓動が跳ね上がる。
大丈夫だろうか、私の心臓。
「あ、結羽はもちらん、心も体も全部好きだよ」
頬が一気に熱を持つのが分かった。
もう、私をどうしたいんですか。
片付けも終わり、ソファに座ってコーヒーを飲んでいる。
幸せな時間だ。
「湊さん、お仕事忙しいんですね」
「いま結構大きいプロジェクトが動いていてね。皆が一丸となって進めてきた案件だから、何とか成功させたいんだ」
「そうでしたか」
「もう少ししたら落ち着くから、会う時間も増えるよ。あ、そうだ」
私の前に何かを置いた。
「ここの入り方覚えたでしょ。鍵渡しとくね」
か、鍵!
突然のことに、私は頭がパニックになって、言葉が出なかった。
「えっ、嫌なの?」
「い、嫌とかそういうことでなく、びっくりしてます」
「少しでも一緒に居たいんだ」
頭をポンポンとされ、ようやく彼女になれたんだと実感した。
「それと、孝がまた、結羽に仕事手伝って欲しいって。結羽はどう?」
「是非、お願いしたいです」
「じゃあ、佐々倉社長には俺から伝えるよ」
勉強になるし、刺激になって、また行きたいと思ってたから、凄く楽しみだ。
< 42 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop