甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
【あの夜と変らぬ愛を】
「お父さん。お忙しいのに、お願いしていいんでしょうか」
「あぁ、今日と明日は、スケジュール何も入れて無いから大丈夫だよ」
お父さんは、両手を出していた。
「さぁ、おいで、悟(さとる)」
悟はお父さんに抱っこされて、あやされるとケラケラと笑っていた。

悟は、2歳になる私と湊さんとの最愛なる息子。
お父さんは、跡継ぎが出来たと、悟が産まれたと聞いた時、仕事をキャンセルしてまで、病院に駆けつけた。
「親父が?信じられない」
湊さんがびっくりするほどだった。

「親父のあんな姿を見る日が来るとは、思わなかったよ」
湊さんはお父さんと悟を見て、微笑んでいた。
結婚して、悟が産まれ、しばらく湊さんとマンションで暮らしていたけど、遊びに来て帰る時に、お父さんの寂しさそうな姿を見て、一緒に住む事を提案した。
初めは2人共、照れくさいのか、
「お前達の世話にならなくても、母さんと2人の方が静かでいい」
「この人は、今まで子供と遊ぶことなんてしなかったから、心配しなくて大丈夫だよ」
そう言って、全く聞く耳を持たなかった。
「それだったら、期間限定で1ヶ月だけ一緒に生活してみませんか?お母さんが居てくれたら、私も助かります」
「まぁ、結羽がそう言うなら」
2人共、渋々ながらに受け入れてくれた。
そうして始まった同居生活は、いつの間にか2ヶ月が過ぎ、そのまま一緒に住む事になった。
「じゃあ、そろそろ行こうか。親父頼んだよ」
「あぁ、ゆっくりしておいで。さぁ、悟、じぃじとお留守番しようね」
お父さんは悟を連れて、奥の部屋に入って行き、私達は家を出た。
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