甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
「次は?」
次は?次はって何?
もう十分幸せだ。
「あっ、ありがとうございます。いい想い出になりました」
「次はどうしてほしいの?」
湊さんは、真剣な眼差しで私の目を見つめて、私の頬に手を添えた。
鼓動の音がますます大きくなる。
しばらく見つめ合うと、段々と顔が近づいてきた。
「あの、湊さん…」
「次は、結羽さんが目を閉じたら、それが返事として受け止めるよ。嫌なら突き放して」段々湊さんの顔が近づく。
ど、どうしよう…
これってファーストキスだよね。
突き放す?でも…
思考が追いつかず、流されるままに、私の瞼は静かに閉じた。
そっと触れる唇が、離れた瞬間、顔が熱くなってきて、恥ずかしくて俯いた。
「きゃっ!」
初めてのキスに心奪われていた時、湊さんは私を抱きかかえ、大きなベットの真ん中にそっと運び、私と向き合った。
「じゃあ、次は?」
次はって、次?
私は気持ちが追いつかず、言葉がでない。
次って…
友達が話しているのを聞いてたから、次ということは…だよね。
男性と付き合う免疫もない私が、いきなりこの状況はどうしていいかわからない。
ただ…
本能的に湊さんが初めての人なら…
私はそれでもいいと思った。
でも…
「ねぇ、結羽、次は?」
結羽と呼ばれたことに、ドキッとした。
見つめられた湊さんから、目を離すことが出来ず、胸が高まるまま黙っていた。
「そっかぁ…わかった。キスまでだね」
私の手は、湊さんの指に絡み取られ、身動き取れない私の唇に湊さんの唇が触れる。
優しく触れては離れたりを繰り返した唇は、段々と熱を帯び、激しくも優しい口づけの音だけが、部屋にしばらく響いた。
「ねぇ、結羽。本当にキス、まででいいの?」
髪を耳にかけられて、耳元でささやく吐息が混じった声。
体中に、電気が駆け抜けたようだった。
翻弄される私は、今どんな顔をしているの?
湊さんみたいに素敵な人との想い出は、これが最初で最後…
熱く揺れる瞳に見つめられると、目が離せない。
頬や髪を撫でられるだけで、鼓動が踊るように激しくドキドキする。
「結羽…」
静かに何度も啄むように唇を重ねた後に、舌を絡み取られる口づけに動揺しながらも、必死に受け入れた。
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