再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
電車に乗り、空いていたロングシートに腰掛けては、ため息をついた。
緊張した……。
今でも心臓が暴れている。
もしかすると、神様が私を哀れんで会わせてくれたのかもしれない。
少しだけ言葉を交わした日の思い出があれば、憂鬱な学校もしばらく頑張れそう……。
まだ、心臓がドキドキしてる。
「小説読もうっと」
私は緊張を紛らわせようと、リュックサックのサイドポケットを探りスマートフォンを取り出そうとした。
……あれ?
あるはずのスマートフォンが見当たらない。
私、落としちゃったの?
反対側のサイドポケットやリュックサックの中身も探ってみたけれど、一向に見つからなかった。
私のばか! 高校に入学した時に買ってもらったばかりなのに!
うっかりどこかに落とした自分が間抜けで情けなくて仕方ない。
友達は寂しいことにゼロだから連絡に困ることはないけど……。
暇つぶしでウェブ小説を読んだり、SNSでお菓子の画像を投稿したり……あと、愚痴を零すのに欠かせないのだ。
駅か病院のどこかで落としたのかもしれない。
私はがっくしと項垂れながら、帰ったら家の電話から問い合わせようと心の中で決めた。