再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「あの……」

「どうしたの?」

「今日会ったばかりだけど……明日も会えないかなぁ」


こうやって声が聞けるだけでも充分のはずなのに、欲張りな自分が出てきてしまう。


「この電話で我慢しようと思ったけど……やっぱり悠くんに会いたい。でも、無理ならいいよ」



精神的に幼いから抑えられないものなの?

私が悠くんと同い年なら会う頻度が少なくても平気になれるの?

悠くんが初カレの私には、よく分からない。

わがままを言ってしまった後悔と、未熟な自分自身に自己嫌悪が私の心を占めていった。


「いいよ。明日会おうか」


何かと理由をつけて断られることを覚悟していた私は、悠くんの言葉に開いた口が塞がらなかった。

明日も会えるんだね。

夏休みの最後の思い出があれば、頑張れそうだよ。


「ありがとう。嬉しいっ。学校は憂鬱だけど、悠くんに会ったら頑張れるの……」

「学校で嫌なことあったの? 友達と上手くいかないとか?」

「違うよ」


間髪入れずに否定した。


「授業や課題が大変だからそれがちょっと嫌なだけだよ。心配かけてごめんね?」


本当の私を知られる訳にはいかない。

よくない噂があって孤立している彼女なんて、恥ずかしいよ。

知ったら私のこと振ってしまうに違いない。

悠くんから見た私は、それなりに友達がいる平凡な高校生……それでいいの。


「何もなくて良かったよ」

「大丈夫だよ。人間関係は全然問題ないよっ」


心配無用だと言わんばかりに、明るい声音で答えた。
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