再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
悠くんが用意してくれたチケットで館内に入り、水槽で泳ぐ様々な生き物を眺めていた。


「クマノミが沢山いるね」


はぐれないように、と悠くんに手を繋がれている。

はしゃぎたいのをなるべく抑えつつオレンジの小さなクマノミを見つめる。

楽しい……っ。

多分私はいくつになっても水族館にテンションがあがってしまうと思う。

ふと、近くにいた肩を並べている老夫婦らしき人を見かけた。

まったりと眺めている二人にほっこりした気持ちになった。

なんだか微笑ましくて私は釣られてるように笑みを零していた。



色んな海域の水槽を見た後、人気のカワウソコーナにいた。

人気とだけあって人が集まっている。

本当なら見るのも一苦労だろうけど、幸い女子の平均より高い私は難なくカワウソを見ることが出来た。

この時だけは背が高くて良かったって思うの。


「可愛い……」


魚を食べているカワウソから目が離せず、足に根っこが張ったように動けない。

そう言えば、他県の動物園では流しカワウソが見られるらしい。

カワウソじゃないけど、温泉に浸かるカピバラも捨て難い……。

機会があれば悠くんと動物園にも行ってみたい……と思ったのは私だけの秘密だ。


カワウソから悠くんに視線を移すと、悠くんは穏やかに見つめている。

そんな優しい表情もたまらなく大好きだ。


「響、ペンギンのコーナーも見る?」

「見たい……っ」


悠くんの提案に私は目を輝かせながら大きく頷いた。

今のは子どもっぽすぎた?
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