再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
一通り館内を見て楽しんだ後は、施設内にあるカフェで少し遅めのお昼ご飯を食べることにした。

私はオムライス、悠くんはカルボナーラを注文した。

そのお店は先払い制で、お昼ご飯代も悠くんが出してくれた。


「悠くん、ありがとう……チケット代も出してくれたのに、お昼ご飯もごめんね」

「気にしないでよ」


至れり尽くせり過ぎて、私を甘やかし過ぎだ。


「……高校生なのに、私ったらあんなにはいしゃいじゃって、子どもっぽくて呆れた?」


私は不安げに悠くんを窺うように見つめていた。

悠くんは微笑を浮かべながら、そんな私の頭を優しく撫でた。


「呆れる訳ないから。つまらなそうにされるより楽しそうにしてくれる方が嬉しいし」

「それなら良かった。でも、少しでも悠くんに釣り合うような大人な彼女にならなきゃって思っていたんだけどな……」


私は肩をすくめて眉を下げて自嘲気味に笑った。

見た目が多少大人びても、中身は年相応かそれ以下だと思う。

私の両親は九つか十くらい離れているけど、悠くんとの四つの年齢差も大きく感じてしまうの。

私が大学生になると、悠くんは社会人だ。

悠くんは六年制の学部じゃないから同窓生にはなれない。

せめて二年早く生まれればと悔やまれる。


「響は背伸びしなくてもそのままでいいよ」

「それだと、どんどん悠くんと釣り合わなくなっちゃう」

「……自分がどれだけ魅力的か理解していないね」

「そう思うのは悠くんだけだよ……っ」

さらりと言ってのけるから、悠くん限定でちょろい私はすぐに顔が熱くなってしまった。

本当に魅力的なら、一人や二人に言い寄られているはず……そんな人いなかったもん。
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