再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
お昼ご飯を食べた後は、お土産コーナーを見て回っていた。

その中にある大きなぬいぐるみに私は目を奪われてしまった。

それは大きなシロクマのぬいぐるみで、ゆるキャラのようにデフォルメされている。

吸い寄せられるようにそのぬいぐるみに近付くと、手に取って抱き締めてみた。


「もふもふ感がすごい……これは、反則……」


しばらく感触を堪能した。

買ってしまいたくなったけど、持ち帰りが大変なのがネックだ。

何より、部屋にぬいぐるみが沢山あるからこれ以上増やしてはいけない。

私はそっとシロクマを棚に戻した。


「これ欲しいの?」

「だ、大丈夫だよっ」


これまでの悠くんを思うと、ためらいなく会計に向かいそうだ。

私はその必要なないと主張するように大きくかぶりを振った。


「ぬいぐるみじゃなくて、何かお揃いのもの……買いたい……」


夏休み最後の思い出に、形に残るものがほしい……。

そんな私の小さな本音を聞いた悠くんは、目を丸くさせた。

だめかな……お揃いは面倒くさいタイプ?


「でも、嫌なら……」

「何か探そうか」

「いいの?」


私が不安げに尋ねると、悠くんは返事代わりなのか優しく笑いかけた。


「ありがとう」


嬉しくて、悠くんに釣られるように笑顔になっていた。


「どこに付けようかな」

「キーケースにしようかな」

「私もそうしようかな」


お揃いのものは、性別関係なく気軽に付けられそうなリアルな生き物のキーホルダーにした。

動物はシロクマに決めた。


水族館を後にし、帰らなきゃいけないと思ったけど、悠くんは駅ではなく、海岸のある方へ私を連れて行った。
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