再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
また会えました
駅から十数分歩いた先に、瀟洒な洋風の屋敷が見える。
そこは私が生まれ育った家だ。
幼稚園に入るまでは別に住んでいる祖父母の元で育った時期もあった。
大きな声では言えないけれど、私の家は私立の大学と付属高校を経営している。
子どもは私しかいないので、将来跡を継ぐことが生まれた時点で確定していた。
悪い噂だらけで爪弾きされている現状を思うと、お先真っ暗で、お父さんやおばあちゃんに申し訳なく思っている。
ドアを開けて玄関ホールに足を踏み入れると、グレーのワンピースにエプロンを着けた女性が私を出迎えた。
「お帰りなさいませ」
「ただいま。柴田さん」
妖艶で美しいお姉さんしかりな柴田さんは、二年前から母親から引き継いで私の身の回りのことをしてくれている。
歳は私と三つしか変わらず、幼い頃は姉妹のように育ってきた。
「お嬢様、その頬は」
あ、いけない……っ。
「お嬢様を傷めつけた輩は、同じ高校の人間ですか?」
笑みを深める柴田さんにタジタジになってしまい、私は慌てて口を開いた。
「ただの事故なの。クラスの子がじゃれ合っててて偶然当たっただけだから大丈夫だよっ」
苦し紛れな弁解だけど、これ以上何も聞いて欲しくなくて笑顔を浮かべた。
「そうですか……入浴後消毒いたしますね」
「ありがとう」
消毒くらいなら自分でも出来るけれど、何でも自分でやってしまうと使用人の仕事を奪うことになってしまうらしい。
ある程度のことは柴田さんに任せて貰っている。