再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

「何処にするかは決まってないんだよね」

「今はまだ……」


これから見学に行って決めていくつもりだ。


「今みたいに会えなくなるのは寂しいけど、響のこと応援するよ。俺も出来る限り協力するからね」

「悠くん、ありがとう」


先ほどの無表情とは打って変わって、柔和な笑みでそう言ってくれて、私は内心ほっとしたものだった。

不機嫌そうに見えたのは、私の気のせいみたい。

なるべく心配かけさせないためにも、家から近いところにしよう。

こじんまりした規模なら見つかるかもしれない。

家に帰ってから、私は早速ネットで予備校について調べ始めた。



悠くんに予備校行き宣言をしてから数日が経った。

あれから私は二つの予備校の見学に行った。

どちらも家から離れていなくて、通いやすい場所にある。

その内の一つは講師の先生が男女問わず気さくな人ばかりだった。

あまり厳しい先生だと通うのが辛くなって本末転倒だ。

私は最終的にその一つの予備校に決めた。

後は申し込むだけというところまで来ていた。



通う予備校が決まった翌日。

悠くんも夏休みが終わって、大学が始まった。

今日は夕方の講義が入っていないということで、久しぶりに会おうと誘われた。

その誘いは正直小躍りしたくなるほど嬉しかった。

予備校を探している間に、何度も悠くんに会いたいと連絡しそうになった。

ラインのやり取りは変わらずしていたけど、電話もこちらからは頻度を減らして控えていた。

楽しみだなぁ……。

待ちに待った放課後を迎えて、私は軽い足取りで待ち合わせ場所の駅を目指していた。

その時だった。



「笹山さん、話があるからちょっといいか?」

「っ!」

同じ学校の見知らぬ男子生徒が私の手首を強く掴んだ。
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