再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

自室に入り着替えた後、早速家の電話の子機で駅と病院に問い合わせてみた。

だけど、スマートフォンの落し物はなかった。


「う……お父さんに正直に言うか……」


夜の八時過ぎ。私は室内にあるソファーにもたれかかってしょんぼりと落ち込んでいた。

買って二ヶ月も経っていないのに……。

スマートフォンの紛失がショックのあまり、先程食べた夕飯の味を覚えていない。


「お父さん、まだ帰ってこないなぁ」


理事長として働いているお父さんは、多忙だ。

先にお風呂に入ろうとソファーから立ち上がった瞬間、私はふと一つの可能性が頭を過ぎった。


「あ! 自分の番号にかけたらいいんだ!」


どうしてすぐに思いつかなかったの? 自分自身が間抜けにも程がある

幸い、番号は覚えている。

時刻はまだ八時半。今かけても非常識じゃないはず。

思い立ったら吉日と、早速テーブルに置いている子機を手に取り、かけてみた。


コールが鳴り始めた。

誰か出てくれるかな……と緊張しながら待っていたけれど、電話は数コール鳴った後出た。

よかった……っ。誰か拾ってくれたんだ。


「もしもし……」


緊張しながら話しかけてみる。

拾ってくれた人はどんな人だろう……。

ドキドキしながら相手の反応を待ち構えていると。


「このスマホの持ち主ですか?」

「……っ!」


物腰柔らかな声が耳に届いた瞬間、私の鼓動は壊れそうなほど高鳴った。
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