再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「助けてくれて、ありがとう……悠くんが来てくれなかったら多分、殴られてた……」

「胸倉を掴まれるのは同性でも怖いのに、男相手だともっと怖かったよね」


あの男の先輩は力で私を押さえ付けて、泣かせたいと言って暴行を働こうとしていた。

悠くんが助けてくれなかったら、顔に痣が出来て、血が出て、骨が折れていたかもしれない。

その時を思い出してしまい、体が勝手に震え始めた。

涙腺まで緩みそうになり、私は唇を噛み締めて涙を堪えていた。


「響、我慢しないで……俺の前では泣いていいから」


悠くんは震えている私をそっと抱き留めてくれた。

大きな手が髪を撫でた瞬間、堪えていた涙が決壊してしまった。


「ゆたか、くん……っ」


私は悠くんにしがみついて、子どものように泣きじゃくっていた。






「響は……俺も怖い?」

「え……」


ひとしきり泣いて、少し落ち着きを取り戻した頃、悠くんは眉を下げて不安げに尋ねていた。


その問いに私は、頭の中に大きなハテナを浮かべながら悠くんの胸に埋めていた顔を上げた。


「響に暴力を振るう真似は死んでもしないけど、俺も同じ男の括りに入っている。今は何も起きていないけど、ふとしたきっかけで響がフラッシュバックを起こすかもしれない。俺は響から離れた方がいい?」


悠くんが私から離れていく。

想像しただけで、男の先輩の時とは違う恐怖に襲われた。

悠くんが私から数十センチ離れた時、冷静さを失っていた。


「いやだ……っ」
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