再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

私は咄嗟に悠くんにしがみついて、背中に腕を回して逃がさないようにぎゅっと力を込めた。


「響……」

「悠くんは、他の(ひと)とは違うの。今でも大好きな人だよ……だから、私から離れないで……っ」


涙を溜めたまま、私はみっともなく悠くんに縋り、懇願をした。


「響の言葉を聞いて安心したよ。俺も響から離れたくないよ」


重い女そのものの発言をしたにも関わらず、悠くんは嫌そうな顔を見せず、それどころかとても嬉しい言葉を私にくれた。


「よかった……これからも、傍にいて……私のこと、飽きるまでの間でいいから……」


飽きるまで、なんて嘘だよ。

でも、ずっとを口にしてしまえば、悠くんを束縛してしまいそうな気がして、言いたい言葉は飲み込んで封印した。


「ずっと傍にいるよ。俺が響のこと守ってあげるからね」


悠くんはそう言うと、前髪をかき分けて、額に優しく口付けを落とした。

そのずっとがいつまで続くか分からない。

私の“ずっと”と悠くんの“ずっと”は違う気がするの。

それでも構わない。

どうか悠くんの心の中に、私が少しでも長くいてくれますように……。




私は人知れず乞い願った────




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