再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません


秋は深まっていき、布団と毛布の温もりが手放せつつある今日この頃。

早朝、私の耳に入ったのはアラームではなく、スマートフォンの着信音だった。

寝ぼけ眼でスマートフォン探り、手に取ると、悠くんの名前が表示された画面が目に入った。


「おは、よう……」


寝起きすぐはハキハキと喋ることが出来ず、舌っ足らずな物言いになってしまう。


「おはよう。響、誕生日おめでとう」


今日は十月三十一日……ハロウィンというイベントの日であり、わたしの誕生日でもある。

今日で十六歳になった。

朝一番に電話をくれただけでも嬉しいのに、お祝いの言葉を貰って頬が緩んでしまう。


「ありがとう……っ。言ってくれたの悠くんが最初だよ」

「本当? 俺が一番乗りなんだ」


声が弾んでいるように聞こえたのは、私の気のせい?


「後で迎えに行くね」

「うんっ、待ってる。またね」


通話を終えて、私はぎゅっと自分の体を抱き締めた。

今日は悠くんにお祝いしてもらう。

それだけじゃなくて、付き合ってからは初めて「泊まりに来て」と誘われた。

生まれて初めての彼氏のお家でお泊まり。

昨日の夜はドキドキしっぱなしで、楽しみと緊張で中々眠れなかったんだ。

いつも以上長く一緒にいられる。

前もって可愛いルームウェアを用意してしまうほど、今日の日を待ちわびていた。
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