再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

一通り焼いた後、ホットプレートに向けていた視線を上げると、クレープの屋台の近くにいた悠くんに気付いた。

いつの間にかあの美人さんはいなくなっていて、真っ黒な感情はどこかへ吹き飛んでいった。

悠くんと目が合うと、くすぐったさを感じてしまい、私は照れ笑い浮かべて手を振った。





「お待たせっ」


午前の当番がようやく終わり、悠くんと合流した。

悠くんは、以前買い物に行った時に私が似合うと勧めたカットソーを着ていた。

細身の黒のデニムとよく合っていて、脚の長さや等身の高さに驚かされる。


「お疲れ様」


悠くんの大きな手が私の頭をぽんと撫でていった。

悠くんに頭を優しく撫でられると、自然と頬が緩んでしまう。

疲れが飛んでいくのを感じるんだ。


「軽く何か食べてから見て回る?」

「うんっ」


満面の笑みで頷くと、どちらともなく恋人繋ぎをした。




他のクラスがやっている屋台でたこ焼きを買って、腹ごしらえをした後、校内の催し物をゆっくりと見て回った。

他の生徒の目線が怖かったけど、隣に悠くんがいるのか思いの外訝しむ目線はなく、普通に接してくれた。

これなら悠くんに知られる心配はないね。

私は一安心した後は、ずっと笑顔だった。




ただ、一つ気になることは、学校の生徒や一般客の女性の熱い視線が悠くんに注がれていることだけど……。
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