再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

まるで真実味を帯びたような言い方だ。

恐れていたことが現実になってしまった。

ずっと隠し通してきた秘密は、呆気なく暴露されてしまった。

私がどれだけいじめや悪評の潔白を主張しても、悠くんに届くか分からない。

目を見張ったまま、悠くんを一瞥するも、すぐに背けてしまった。

悠くんがどんな表情(かお)をしているのか、怖くてとても見ていられなかったんだ。

悠くんも由加のように信じてくれなかったら……。

涙が浮かび上がり、頬やまつ毛を濡らしていく。


「ごめんなさい……っ」


ここにいることに耐えられなくなった私は、逃げるようにその場から駆け出した。






無我夢中に走り続けた私の足は、駅から近い小さな公園の前に止まった。

園内は私以外誰もいなくて、私はふらふらと遊具に近付き、身を隠すように膝を抱えて座り込んだ。

あの話を知った今、悠くんは私に幻滅したかな?


「私を信じて……悠くんと、別れたくないよ……」


薄暗くなり始めた頃、遠くから救急車のサイレンの音が聞こえた。

近くで事故が起きた? あーあ、その人と代わってあげたいよ。

殺人鬼やいつかのストーカーが私の前に現れて、殺してくれないかな……なんて、お母さんに怒られちゃう。

お母さんの両親……つまり、私の祖父母は早くに事故で亡くしてしまった。

私くらいの年で両親を亡くしたお母さんを思うと、親不孝な考え極まりない。

だけど、頭ではいけないことと理解しながらも、私の心は完全に希死念慮に支配されていた。
< 144 / 182 >

この作品をシェア

pagetop