再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません


コンビニに入って、店内の商品を眺めながら時間を潰していた。


「響」


聞き慣れた声が耳に入って、私は商品からそちらへ視線を向けると、息を切らしたお父さんがいた。

いつも落ち着いている父は、焦りが見られて、只事じゃない何かが起きたのだと察した。


「お父さん……」

「響……無事で良かったです……」


お父さんは私の手を強く握り締めた。


私はコンビニを出た後、お父さんさんに連れられて少し離れた駐車場へ向かう。

そこに停められた車の助手席に乗り込んだ。

お父さんは車の運転を始めると、すぐに何があったのか私に説明してくれた。


「学校から連絡があって、響がいた公園の近くで傷害事件が起こったんです」

「え……」


さっき聞こえた救急車のサイレンと関係があるのかもしれない。

 
「詳細は分からないですが、被害者は鋭利な刃物で刺されて病院に運ばれたとか」


私は身近でニュースになるような事件が起きていたことに、動揺を隠せなかった。


「加害者が見つからなくて、響に何かあったらと思うと生きた心地がしませんでした」

「心配かけてごめんなさい」


刺すなら私にすれば良かったのに……私なら滅多刺しにしても構わないよ……。


口では謝ってみせたけど、内心、罪悪感を抱きながら親不孝なことを考えている私がいた。


「しばらく休校になるので、家から出ないでくださいね」

「わ、わかった……」


それからはずっと車内は沈黙が続いた。
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