再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
日は流れて、十二月の下旬になった。
今日は二学期の終業式で、明日から冬休みが始まる。
休校が終わった日から、私に接してくれるクラスメイトが増えてきた。
でも、私は距離を置いて相変わらずひとりぼっちでいた。
嫌がらせの矛先が変わっただけに過ぎない。私は安易に信じることが出来ずにいた。
あれから桐谷さんは爪弾きに遭い、周りの生徒は彼女を忌避している。
嫌がらせを受けているのか、ずぶ濡れの彼女を見かけたこともあった。
ついには数日前から学校に来なくなった。
「おはよう、笹山さん」
「放課後、笹山さんも一緒に遊ぶ?」
友好的に話しかけてくれるクラスメイトがいても、私は未だに孤立を選んでいた。
人が怖い……悠くん、助けて……。
別れを告げて一ヶ月以上経った今も、悠くんに縋りたくなる自分が出てくる。
その度に自分に叱咤して、頭の中の悠くんを追い出すことひ骨を折ったものだ。
学校が終わり、皆は明日からの冬休みに浮き足立っていた。
ちょうど明日はクリスマスイブなんだ。
(クリスマスやお正月を一緒に過ごしたかったな……)
クリスマスにケーキを、お正月におしるこを作って、悠くんとまったりと過ごしてみたかった。
もう叶うことのない願いだ。
私はぼんやりとしながら、一人寂しく帰り道を歩いていた。
自宅の最寄り駅に到着し、改札を出た時だった。
「君は笹山響ちゃん……だよね?」