再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
眠れる王子様
川端さんから連絡が来るまでの間は、生きた心地がしなかった。
悠くんの状況を聞かされてから二日しか経っていなかったけど、私にとって永遠に近いほど長く感じた。
しかし、その長く感じた期間があったからこそ、混乱した心は少しだけ落ち着くことが出来た。
もし、川端さんにすぐに病院に連れて行って貰っていれば、激しく取り乱して、悠くんの身内に迷惑をかけていたかもしれない。
今は暫定的に悠くんの彼女だ。
悠くんが眠っている間だけで、遅かれ早かれ私は振られてしまうかもしれない。
その時が来たら、私は悠くんじゃない人を好きになれる?
もし悠くんに拒絶されたらと思うと、背すじが凍るほど怖くてたまらない。
でも、いつまでも目を覚まさないのはもっと嫌だ。
連絡を貰った翌朝、川端さんが自宅の近くまで迎えに来てくれた。
私は友達のお見舞いに行くと、真実に嘘を混ぜたことを柴田さんに告げて家を出た。
「おはようございます」
「響ちゃん、あまり寝てないでしょ」
コンシーラーで隠してみても、寝不足はばればれのようだった。
川端さんは一度車から降りると、助手席側のドアを開けて乗るように私にジェスチャーを送った。
容姿端麗な川端さんがすると、紳士的に見える。
川端さんの運転で病院に向かっている間。
眠っていい、と言ってくれたけど、悠くんが気がかりでとても眠れなかった。