再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
冬休みが終わり、三学期が始まった。
毎日とまではいかないけど、時間を見つけては、足繁く病院に通い続けている。
それでも悠くんは相変わらず眠ったままだった。
自発的に呼吸する悠くんを見ていると、まだ生きているのだと実感出来て安心することが出来た。
通い続けていく内に気付いたことがあった。
瑞穂さんや川端さんの他に、瑞穂さんのご両親……つまりは悠くんの叔母さまと叔父さまと鉢合わせることが度々あった。
だけど、悠くんのご両親がお見舞いに来たところを見たことは未だ一度もなかった。
ご両親は忙しい人なのかな。それとも……。
私はそれ以上考えることを辞めた。
悠くんの家族の話はほとんど聞いたことがなかった。
私より一つ上になる弟がいると、だいぶ前に聞いたことがあったくらいだ。
私が思い浮かんだ内容は、あくまで私の勝手な憶測でしかない。
それに悠くんにとって触れて欲しくない事柄だと思う。
私だっていじめの冤罪や、爪弾きされていることをに触れて欲しくなかった。
私が初めて病室に訪れた日から一ヶ月以上が過ぎていった。
一月はあと少しで終わりで、世間は来る二月のバレンタインデーで盛り上がっている。
私は昼休みを図書室で過ごしていた。
無意味と知りながらも、自宅から持ってきたチョコレートのレシピ本を広げて、美味しそうなお菓子の写真を眺めている。