再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
悠くんが目を覚ましたら、作ってあげたいな……私と関わってくれるか分からないけれど……。
ぼんやりと眺めていると、ブレザーのポケットに入っているスマートフォンが振動する。
スマートフォンを手に取ると、川端さんからの着信だった。
辺りを見渡して見ると、生徒はほとんどいない。
私は奥の書架に場所を移し、着信に出た。
「もしもし」
「響ちゃん、俺、今病院なんだけど、お、落ち着いて聞いて」
焦りのある川端そんの声に、心臓がぎゅっと掴まれたような心地に陥る。
「川端さん、どうかしたのですか?」
悠くんは、無事なの……? それとも……。
くらり、と目眩が襲いかかってきた。
最悪のケースを想像してしまい、立つこともままならない。
「川端さん、話を続けてください」
それでも、どんな結果が待ち受けようが、川端さんに耳を傾けなければいけない。
私は覚悟を決めて、川端さんが切り出すのを今か今かと待ち構えていた。
「────そうですか……はい、分かりました」
川端さんとの通話を終えると、私はしゃがみこんで膝を抱えた。
「うっ、ひっ、く……」
嗚咽を抑えたくても、次から次へと溢れる涙のせいで抑えられない。
これは現実? それとも夢?
私は確かめるように先程の川端さんの言葉を、鮮明に思い起こした。
そして、いてもたっても居られなくなり、図書室から飛び出した。