再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
私達は近くにあるカフェに入り、店員さんに案内されたテーブル席に向かい合って座っていた。

店員さんから渡されたメニュー表を広げて、飲み物を決める。

私はアイスココア。写真のクリームが乗ったココアが美味しそうに映った。

対する北川さんはアイスティーだった。


「デザート食べない? 疲れた時は甘いものでしょ」


北川さんはデザートのページを開いて、私に差し出してくれた。

そうだ。お礼も兼ねて私が払おう。
我ながら名案だと思い、早速提案を始めた。


「北川さんも選んでください。お礼も兼ねて私にご馳走させてください」

「そこまでしなくていいよ」

「でも、迷惑かけましたし、今日なんて待たせてしまったから……」


遠慮はしないでくださいっ。

これくらいはしないと気が済まないんです。


「俺は全然気にしてないよ。正直、高校生に出してもらうのは少し抵抗があるかな。もうすぐ二十になるから」


気にしなくてもいいのに。友達付き合いはないからお小遣いは余っている。

大丈夫です、気にしないでくださいと声を掛けたけど、彼が頷くことはなくて、結局折衷案として自分が頼んだ分は自分で払うこととなった。

私はアイスココアをミルクティーに変更して、いちごのタルトを注文することに決めた。


「スマホ返すね」

「ありがとうございました」


注文を待っている間、北川さんはスマートフォンを私に渡した。

故障もなく無事に手元に帰ってきてほっと安堵の息をついた。
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