再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
ずっと前から好きでした
日は流れて、二月の半ばを迎えた。
数日前、悠くんは経過に問題が見られず、無事に退院することが出来た。
明日、病室以外で久し振りに悠くんと会うことが決まった。
長いこと大学を休んだから、これから忙しくなるみたい。
その日は奇しくもバレンタインデーだった。
前日の夜である今、私は自宅のキッチンでお菓子を作っている。
悠くん贈るのはガトーショコラだ。
今までは家族や柴田さん、孤立する前は友達に作っていたけど、本命チョコを作るのは生まれて初めてだった。
オーブンの前に立ち、上手く焼けますようにと手を合わせて祈る。
いつもなら焼き上がりを待つ時間はわくわくするけれど、悠くんにあげるためのお菓子作りは、緊張を覚えるようになった。
しばらくしてオーブンからアラームが鳴り、ミトンをはめてやけどに気をつけながら鉄板を取り出す。
四号サイズの小さなケーキから、甘いチョコレートの匂いが鼻をくすぐる。
竹串で刺してみたら、生焼けはなく無事に焼き上がった。
良かった……。
私は納得の出来上がりを見て、ほっと息をついた。
粗熱が取れてからは、ラッピングをして渡せる状態にした。
ケーキを入れるような小さな箱に入れて、おしゃれな紙袋に入れて、赤いリボンで飾った。
ふと、スマートフォンを見れば、時刻は十一時半を示していた。
そろそろ寝なきゃ……っ。
私は使った調理器具を洗い始めた。
片付けが終わるまでがお菓子作りだから。