再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
しばらくして、悠くんは読み終えたようで最後の手紙の便箋を半分に折りたたんだ。
「なにか書いてあった……?」
正直気になってしまう。
便箋を手にした悠くんをうかがうように見つめると、悠くんは私に視線を向け、眉を悲しげに下げた。
「響は読まない方がいい……」
トーンが落ちた声音で返ってきた言葉に、胸がズキズキと痛んできた。
きっと、これまで入れられた誹謗中傷の類に違いない。
いくら嫌がらせが減ったとはいえ、まだ私のことを疎んでいる人がいるんだ。
私は、悠くんが便箋を全て細かく破く様子を涙を飲みながら見つめていた。
「またこんな手紙が入っていたら読まずに俺に渡して? 代わりに処分してあげるから」
「ありがとう……」
「響の不安を取り除くのは、彼氏の役目だからね」
でも、悠くんに頼ってよかった……。
悠くんはいつだって変わらず私の味方でいてくれる。
彼女の私にデタラメな噂がまとわりついて、爪弾きされていたと知ってもそれは変わらない。
少し落ち込んだ気分は、悠くんが晴らしてくれた。
手紙問題はこれで終わり、私は気を取り直して、昨夜作ったガトーショコラを悠くんに差し出した。
「悠くんにお菓子作ったの。今日は十四日だから……受け取ってくださいっ」
初めての本命チョコに私は緊張していた。
「今日バレンタインなんだ」
悠くんは忘れていたようだ。
最近まで入院していたり、退院後も忙しかったから無理もない。