再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

「ガトーショコラにしてみたんだ」

「ありがとう。早速食べていい?」

「どうぞ」

「お茶淹れるね。響も一緒に食べよう」

「うんっ」


悠くんはソファーから立ち上がると、お茶を淹れにキッチンへ向かった。





「どうかな……」


リビングのテーブルにカットされたガトーショコラと温かい紅茶がある。

悠くんがガトーショコラを食べている様子を、私は固唾を飲んで見つめていた。

お口に合うのか不安です……っ。


「美味しいよ。甘さ加減も絶妙だよ」

「お口に合ってよかった……」


悠くんの言葉に、私は嬉しさと安心で目を細めてにこりと笑った。


「不安にならなくても、響の作ったものは全部美味しいから」

「だって、本命チョコをあげたの、悠くんが初めてだから……」

「そうなの?」


悠くんは意外に思ったのか、目を丸くさせていた。


「全部、悠くんが初めてなの」


私は恥じらいながら馬鹿正直に申告した。

付き合うのも、抱き締められるのも、キスされるのも、全部が悠くんなんだ。

いくら中学まで女子校育ちだからって、まともに恋愛経験がないのは変わっている?

私みたいな人は重いのかな……。

一抹の不安を抱いていたけど、悠くんは変わらず私に優しい笑みを向けてくれた。


「嬉しいよ」


大好きだよ。

私は悠くんに寄り添って、腰に腕を回してぎゅっと甘えるように抱き着いた。

悠くんは、そんな私に髪や額、まぶたに触れるだけのキスを落とした。
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