再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
そうこうしている内に、店内は満席に近いほど賑わいを見せたので、店を後にすることにした。
結局お会計は割り勘だった。
お礼が出来なくて残念……次はどうやって会えばいいんだろう。
恋愛初心者の私は、誘い方が分からない。
「楽しかったです……誰かとこんなに話したのは久し振りで」
余程楽しかったのか、自然と口角が上がっていることに気付いた。
「俺も同じだよ。笹山さんが良かったら、またこうやって会いたい」
その言葉に私は耳を疑った。私と同じことを考えていたなんて。
「いいんですか……?」
瞠目した目をぱちぱちと瞬きを繰り返しながら彼を見つめていたけど、だんだん心臓に耐えられなくなってしまい、思わず目を伏せた。
「ライン交換しようか」
「はい……っ」
一斉にスマートフォンを取り出す。
私はまだID検索が出来ない年齢なので、二次元バーコードを使ってラインを交換した。
また、接点が持てた。
私は嬉し過ぎるあまり、にやけてしまわないように必死に顔を引き締めていた。
この時の私は知らなかった。
どんどん彼への気持ちが大きくなっていくこと。
彼から離れられなくなって、彼がいないとダメになる自分に変わり果ててしまうことに────