再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

日は流れて、六月半ばの日曜日の夜。

梅雨真っ只中にしては珍しく雨は降らなかった。

北川さんは同い年の従姉妹さんの結婚式に参列していた。

前日、出席するのだとラインで教えてくれた。


従姉妹さんは、学校は違うけれど北川さんと同じ大学二年生だと言う。

北川さんと同い年となると十九か二十歳だ。

従姉妹さんと旦那さんは高校時代の先輩後輩だったと教えてくれた。

高校時代に出会った人と結婚……教会式になるのかな? 素敵……。


チャペルやウェディングドレスに憧れがあるけど、その夢は叶うことはない。

私の家は結婚に関するしきたりがあって、時代劇でよく見るような祝言を挙げる決まりがあるからだ。

お父さんもおばあちゃんもそうやって挙げてきた。

祝言となると白無垢を着ることになる。

その時、頭の中に紋付袴を着ている北川さんが浮かび上がった。

洋装も王子様みたいで似合いそうだけど、和装も素敵だろうな……。

……って何考えているの!?

まだ知り合いの域から出てないと言うのに、飛躍した妄想をしていた自分を恥じ、ベッドのうつ伏せになって、枕に顔を埋めた。


眠気を堪えている内にもうすぐ十時になろうとするけど、北川さんからのメッセージはない。

二次会とやらで盛り上がっているのかもしれない。

送るだけ送ってみようかな……。

私は勇気を出して、自分からメッセージを送ってみた。

< 26 / 182 >

この作品をシェア

pagetop