再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

学校は勿論のこと、家にいても気が休まることはない。

次第に私は寝付きが悪くなり、基本十時までに寝るほどの早寝だったのに、日を跨いでから眠るようになった。

睡眠時間は減って、常に貧血気味だ。

一度、警察に相談をしてみたことがあった。

だけど、実害がない今、どうすることも出来ないと言われた。

ストーカー規制法って飾りなんでしょうか……?



私は部屋で一人、スマートフォンの画面を見つめていた。

画面には北川さんの電話番号が表示されている。

少し、話を聞いてもらうだけ。

それ以上頼ると、ストーカーに何されるか分からないから。

時刻は八時半過ぎ。

私は意を決して初めて北川さんのスマートフォンに電話をかけた。

コール音はしばらく続いたけど、北川さんは電話に出てくれた。


「こんばんは。北川さん、今電話しても大丈夫ですか?」


大きい通りが近いのか車が行き来する音が聞こえてくる。

タイミングが悪かったかも。今誰かと会っているのかもしれない。


「問題ないよ」


北川さんはそう言ってくれたけど、手短に要件を伝えよう。


「あの……相談したいことがあって……暇な時でいいので少し会ってくれませんか?」


平静を装うとしてみたけど、思ったより声のトーンが落ちていた。


「深刻そうだね。微力だけど俺で良かったら話を聞くよ。笹山さんの都合が良ければいつでも大丈夫だよ」


突然の私のお願いを快く引き受けてくれた。

本当に優しい人。さぞ大学で頼られているんだろうな……。
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