再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「北川さんは、ストーカーされたこと、ありますか?」
「ないかな」
北川さんのような容姿端麗な人なら、女の人に付きまとわれる経験がありそうだと思った。
相談しても、いいのかな……。
でも、北川さんはわざわざ時間を作ってくれた。
なんでもないです、と帰すのも失礼な気がしてきた。
「私相手に有り得ないと思っていたのですが……」
私は意を決して打ち明けることにした。
「六月に入ってから、後を付けられたり、変な手紙が届いたりするようになりました。手紙と一緒に盗撮された写真も入っていて……古いものだと小学生の頃の写真もあったんです……全て目線が合ってなくて……」
私は立ち上がり、再び客間を出て行った。
毎日送られた手紙を取りに行くために。
言葉で説明するより見てもらった方が早いと思ったから。
自室にあるプラスチックのケースにこれまでの手紙がまとめて入っている。
そのケースを持って客間へ向かった。
「怖くて、五通目から読んでないです……」
北川さんは沢山ある中の一通を手に取り、中の便箋を読み始めた。
「おかしいですよね」
どうして私に執着するのか。
ストーカーならば、私の悪評を知っていてもおかしくはない。
悪逆非道な人間と知れば早々に手を引けばいいのに、未だに尾行をし、手紙を送り付ける。
「これは狂気の沙汰だね」
手紙を読んだ北川さんは、不愉快に感じたのか眉根を寄せていた。
「警察に相談してみたのですが、実害がないと動けないと言われました……」
制服のプリーツスカートを握り締める。
ぽた、ぽた、と雫が手の甲に落ちていった。